私たちが日頃から踏みしめる大地は、数多の命を育む大切なステージです。森の再生も土壌がなければ、実現出来ません。
そして、その土の中には驚くほど沢山の生物が生息し、日々、枝や実などの植物遺体や昆虫などの動物遺体、塵や埃・花粉等をせっせと分解し、土に還し浄化するシステムが機能しています。
この大地の働きが健全でなければ、地球はあっという間に汚染され、ゴミだらけになります。
都市部では、植物を伐採し土壌をアスファルトやコンクリートで固めている為、いつまでも大気が汚染された状態が改善されないのです。
花粉症やアレルギーは生態系の循環を分断した弊害と云えるでしょう。
顧問である青木淳一農学博士の御指導の下、土壌動物の出現種の判定で導く「自然の豊かさ指数」を植樹地の回復度合いを追跡する為、Silvaは調査してきましたが、
より細かで正確な解析を目指し、森林再生指導員であり、現役の横浜国立大学生である小山雅弘さんが
卒業論文で「めぐりの森の土壌生物」を題材に「そこにあるものの命を活(生)かす」土壌回復の過程を研究テーマとして4月・6月・9月と調査が実施されました。
横浜国立大学 土壌生物研究室の学術博士 中森泰三 准教授も研究員を動員して、湘南国際村めぐりの森へ足をお運びくださいました。
実は湘南国際村めぐりの森では、過去に植樹をする為の対象地に生えている既存の木を伐採して更地にし、盛り土をする造成工事が行われていました。
伐採された既存の木は根から抜かれ、焼却処分されていたのです。
地球の気候変動へ歯止めをかける緩和策として、
森を再生する為の植樹地用のマウンドを整える過程で既存の木が抜かれ、焼かれる矛盾がここにはあります。
写真の枝葉はSilvaで引き取った伐採木の一部です。幹や根は既に焼却処分されていました。中には、湘南国際村めぐりの森の主木であるタブノキやアラカシ、スダジイやシロダモもありました。
Silvaは、こうした課題を回避する為、表層土が浚われ疲弊した環境下でも自生した木々や土着土壌生物を生かし、森の再生をすることは出来ないだろうかとトライし実験過程で実現したのが
今、活動している「そこにあるものの命を活(生)かす」生態系機能回復式の森づくりです。
森づくりの過程でも安易に造成せず、既存の土壌生物の棲家を整え、土の中の多様性を増すことの重要なのです。
小山雅弘 森林再生指導員と中森泰三 博士(学術)
横浜国立大学 土壌生物研究室 中森博士(学術)&Silva森林再生指導員&葉山ボランティア隊「みつばちアーヤ」
横浜国立大学研究室との連携は、若いスタッフがきっかけとなり、
大地に棲む無口な住民を想う心が繋いだ架け橋でした。
中森泰三 准教授からのメッセージ「Silvaの森の土壌動物にスポットライトを」
小山雅弘 森林再生指導員の決意「土壌生物の可能性を高めたい!」
御二方には、この場をお借りして改めて感謝申し上げます。
現場での採取よりも解析に時間がかかります。小山 森林再生指導員、頑張ってください。
今後の解析結果に乞うご期待ください。
※中森泰三 学術博士 著書
土壌生態学
中森泰三 (担当: 分担執筆 , 担当範囲: 土壌微生物と土壌動物の相互作用 )
朝倉書店 2018年08月 ISBN: 978-4-254-43572-6