活動の始まり
湘南国際村 めぐりの森は、かつて民間企業によって約20年前から300ヘクタールにわたる開発が進められていました。しかし、業績不振により、その土地は神奈川県に無償で譲渡されました。
企業的には採算が合わなくなった土地が、開発途中で荒れ地となっていたため、どのように再生するかが課題となりました。その際、横浜国立大学名誉教授・宮脇昭先生が提唱する「その土地本来の樹木による常緑広葉樹林の再生」が注目され、2008年から市民参加型の森林再生活動が神奈川県によって始動しました。
森の再生プロジェクト
この活動は、地域の安全な生活環境の確保と、防災林としての機能を高めることを目的としています。市民、企業、行政が一体となり、ボランティアの力を活かして進められています。活動は「混植・密植方式」で進められており、2009年から10年間、緑化が継続的に行われてきました。
しかし、活動の中では様々な課題も浮上しました。植樹にかかる費用負担や、施工時の自然への影響、廃棄物の発生、既存の木の伐採とその焼却処分による環境負荷、地元住民の反対などがその一例です。
持続可能な植生復元へ
これらの課題を受け、2015年にグループ長である(社)シルワは、従来の「混植・密植方式」を見直し、新たなアプローチ「生態系機能回復式 植生復元」を導入しました。この手法は、自然環境をできる限り保護しながら、コスト削減や活動の持続可能性を向上させるもので、以下の利点があります。
Silva生態系機能回復式 植生復元のメリット
* 施工コストの30~70%削減
* 自然環境を保護し、多様性を維持
* 重機を使わないため、山岳地でも植生回復が可能
* 近隣業者からの有機物を活用し、土壌を活性化
* 限界集落や障がい者の手で不要材をリサイクル
* 障がい者育苗の苗木を使用し、福祉にも貢献
* 住民の賛同を得て、ボランティアが増加
* 持続可能で低コストな事業運営
* メンテナンス期間の短縮(植樹後3~5年)
* 軽量な用具を使うため、誰でも土壌の活性化作業が可能
このように、新しい手法によって持続可能で地域に根ざした活動へとシフトし、多くの人々とともに湘南国際村 めぐりの森を再生しています。
2020年3月に土壌の手当を完了
疲弊した土壌が活性化され土壌生物の多様性が増し肥沃な土壌へ2020年9月
2016年12月6日
約20年前、大規模な事業計画の一環として、既存の木々が根こそぎ抜かれ、ゴルフ場整備のための作業道に変わった場所です。 しかし、事業は予算不足で中断され、そのまま放置されて20年が経過しました。その間、土壌は疲弊していたものの、木々や草本、つる性植物が自然に成長し、夏にはヤブ化し、冬には硬化した土壌の影響で植生が偏るようになりました(写真参照)。
この土地を再生させるため、水脈を改善し、有機物で土壌を覆うことで活性化を図りました。その後半年間の経過を追い、生態系機能回復式 植生復元の効果を観察しました。
植樹祭の実施
2017年5月14日
第12回湘南国際村めぐりの森植樹祭を開催し、144名のボランティアが参加しました。半年前に実施した水脈改善の結果、活性化した土壌に約850㎡の面積で22種、合計2,580本の木を植樹しました。
2年後の変化
2019年5月28日
植樹から2年が経過し、土壌の活性化と共に既存の木々や土着の生物が順調に成長している様子が確認されました。通常、植樹後の「育樹」作業は2~3年で完了し、メンテナンスが不要になりますが、めぐりの森では育樹に5年もの期間が必要でした。しかし、リノベーションされた「生態系機能回復式」の実施場所では、わずか1年で自立し、メンテナンスフリーとなっています。
2015年10月
数年前に植樹が行われたこの場所では、土壌の質が悪く、木々の成長が遅れていました。そのため、2015年10月に通気浸透水脈改善を実施しました。枕木を設置し、溝を掘ってワラを敷き詰めることで土壌に栄養を与え、適切な水の流れを作っています。
調査方法としては、植樹された苗木の成長を記録する毎木調査および出現する植物の傾向を分析する方法を採用しました。
1年後の状況
2016年9月
通気浸透水脈改善から1年が経過した時点で、作業道には緑があふれ、植物が大きく成長しました。中には高さ2mを超える個体も見られ、この改善が成功したことを確認しています。他の植樹地でも同様に通気浸透水脈改善が実施され、混植・密植方式との相性の良さが証明されました。
3年後の変化
2018年9月
水脈改善から3年が経過した後、毎木調査による生長率の解析を実施しました。手当て前の生長率は67~73%だったのに対し、改善後は84~141%にまで回復していることが確認されました。特にヤマモモやスダジイなどは、樹高30cmだったものが、3m〜3.3mにまで成長しています。この結果を基に、潜在自然植生種を用いた混植・密植方式の植樹用のマウンドづくりに今後も採用し、経過回復の指針として植生調査や土壌動物の出現種解析を行うことで、自然の豊かさ指数を判定する方針を固めました。
■アクセス■
住所:〒240-0107 神奈川県横須賀市湘南国際村3丁目1−1
湘南国際村めぐりの森地図はコチラから
● 車でお越しの方へ:
● 公共交通機関でお越しの方へ:
JR逗子駅から:
京急バス1番乗り場より「湘南国際村センター」行きバスに乗車し、終点「湘南国際村センター前」で下車(約30分、片道340円)。
京急汐入駅から:
京急バス2番乗り場より「湘南国際村」行きバスに乗車し、終点「湘南国際村センター前」で下車(約30分、片道370円)。
● 下車後の案内:
バスの進行方向へ直進し、めぐりの森入口へお進みください。
※詳しいバスの運行時間はコチラより検索してください。
2023年(令和5年)第24回~は、株式会社サンケイアイ様が放映された以下、公式YouTubeを是非、ご覧下さい❣
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