調査
まず植樹を行う場所についての調査を行います。
植物の出現傾向や土壌の性質等の周辺環境も併せて全体的に調査を行い、植樹地の性質を把握します。
日本は一般的には温暖湿潤気候という暖かく湿った気候に属しています。
ですが太平洋側か日本海側か、北に位置しているか南に位置しているかなどの様々な条件から同じ日本の中でも微妙に気候等の条件が違います。
それにより土壌の性質や生えてくる植物の種類にも違いが出てくるため、植物の出現傾向だけでなく土壌の性質などの周辺環境も併せて調べる必要があるのです。
苗木の育成
植樹地の調査が終わったら次は植樹する植物の種類を決め、その種類の植物の苗木を育てます。
通常この工程には2~3年ほどの年月を要します。
私たちが活用している植樹方式である混植・密植植樹方式では苗木を植樹に使用する為、苗木を予め育てておく必要があるのです。
一般的に苗木の育成はドングリなどの種子から育てます。
植樹に使用する苗木は植樹地に近い環境で育った植物であるほうが環境に適応しやすいので、植樹地の近くや似た環境の場所から種子を拾い集め、施設にて発芽・生長させます。
私たちが扱う苗木の殆んどは福祉施設連携の森づくりチーム「どんぐりブラザーズ」さんから仕入させていただいております。
大地の再生
苗木の育成と並行して植樹地の整備を行います。
植樹地を植樹に適した環境に変える必要があるからです。
混植・密植植樹方式では2~3年生の苗木を密に植える為、植樹地はある程度整備された状況である必要があります。
例えばもう使われなくなった人工林を植樹地とする場合には皮むき間伐を行い土壌を自然な状態にする必要があり、水捌けが悪い土地であれば通気浸透水脈改善を行い土壌を整備する必要があります。
皮むき間伐とは立ち枯れさせる間伐の方法で、通気浸透水脈改善とは水や空気の流れを正常化する手法です。
植樹
苗木と土地の準備が出来たら次は植樹です。
混植・密植方式植樹にて植樹を行います。
私たちは植樹祭というイベントを開催し、一般のボランティアの方々にも植樹を行ってもらっています。
植樹という作業は森づくりをもっとも実感しやすい作業であり、森づくりの大切さと自然を皆さんの身近に感じてもらいたいからです。
植樹地の面積にもよりますが植樹祭の来場者数は多い時で600名を超えます。
マルチング
植樹を行った後はワラなどで苗木を保護します。
これをマルチングといいます。
通常この作業も植樹祭の一環としてボランティアの方々に行って頂いています。
植樹した苗木はまだ環境になじんでおらず、非常にデリケートなので保護してあげる必要があります。
マルチングでは土が見えなくなるまでワラを敷き詰め、そのワラが風で飛ばない様に紐で固定します。
こうすることで風や雨で苗木が倒れたり土が流されたりすることを防止でき、かつ月日が経ち苗木がある程度成長するとワラと紐が朽ちて苗木の栄養となり苗木の更なる生長を促すことが出来るのです。
手入れ
植樹後3年間ほどは植樹地の手入れを行う必要があります。
未だ苗木が不安定で生長を助ける必要があるからです。
手入れの方法としては草刈りや水脈整備などがあります。
草刈りは草刈り機などを使う通常の刈り方ではなく水脈づくりにつながる風の通り道を整え、誘導することを目的とします。
その為、草を根絶やしにすることなく優しく撫で狩りをするようなイメージです。
データの集計
苗木がある程度成長して来たら経年観察を始めます。
データを集計し二酸化炭素の吸収量の算出や次回以降の森づくりに経験を活かすためです。
経年観察とは苗木が年月が経つにつれどういった成長を遂げているかを調査することで、私たちは主に経年観察に毎木調査と植物の出現傾向の調査を行っています。
毎木調査とは植えた苗木全ての樹高などのデータを集計する調査方法で、植物の出現傾向の調査は植樹地に新しく生えてきた植物の種類をすべて洗い出す調査方法です。
どちらも苗木がどう生長し、森林がどうやって形成されていくかを把握するために非常に有用な調査方法です。
そして集められたデータは蓄積され、今後の森づくりに生かされます。